水中をゆったりと揺蕩う満月を、同じくらいまんまるい瞳がゆっくり追いかける。
手足を小さくパタパタしているうちの子を眺めながら、この子が海の生き物を好きなのは本能、それともプログラムなのかしら、なんて考えていた。
驚いたのは、たくさんのイワシの群れよりも飛び跳ねるイルカよりも、うちの子が一番気に入ったのは小さな水槽に浮かぶクラゲ達だったことだ。
そういえばプールに連れて行ったときも、他の水系の子達が競争するなか、うちの子はゆっくり水に浮かんで歌を唄うのが好きだった。
親近感でも感じているのかしら。そう考えながら、もうすぐ一周する時計の長針に目をやったあと、次でとうとう二桁目に達する帰宅のお誘いに挑戦してみることにした。
文: 毛玉おにぎり
イラスト: とみなが まい
カプセルトイ「ドラネッツ Vol.2 海竜型」ミニブック掲載